COLUMN ビジネスシンカー

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2020.07

人間は実はいつだって不合理に行動する!?
知ってると知らないでは大違い。
行動経済学のキホン

「保有効果」を最大にして
成長した、
セルフメイド家具のIKEA

行動経済学のセオリーは、とくに広告業界やネットビジネスなどで様々な形で導入されている。たとえば車のCM。車のCMは購入前の人だけでなく、購入した人も意識してつくられている。高級車の場合はとくにそうだ。

あなたは「BMW」のCM で感動してカタログを集め、試乗会にも出向いて「BMW 6」を買ったとしよう。あなたは「BMW 6」を手に入れたので、これでCMは一切見ない......とはならない。むしろ頻繁にサイトにアクセスして、スペシャルムービーを観るかもしれない。人間には一旦ものを所有すると「保有効果」という効果が生まれるからだ。保有効果とは、自分が持っているものにより高い価値を感じること。クルマのCMには、その保有効果を高める仕掛けがふんだんにある。

つまり、「あなたが購入したBMW 6は、これほど素晴らしい車ですよ」という保有効果に訴えて、CMは打たれているのだ。その際、自慢できる「語り」の部分が組み込まれていれば、その保有効果をさらに高めることができる。その保有効果を間断なく高めることで、次の買い替えの時も「BMW」という選択に誘導させることができるわけだ。

この保有効果を最大限に活用して、業容を拡大した企業がある。スウェーデンに本社を置く組み立て家具の「IKEA」だ。

IKEAの家具は基本的にセルフメイド。自分で組み立てて手間と時間をかけるため、出来上がった家具を必要以上に高く評価することになる。セルメイドの家具は「ニトリ」なども展開しているが、IKEAの製品はニトリに比べても、工数が多いので完成させた時の保有効果がさらに増す、というわけだ。

このセルフメイドの発想は、行動経済学でいう「自前主義バイアス」にも通じている。

自前主義バイアスとは、企業などが自社が持つ資源や材料だけで賄おうとする考え方で、自分が所有しているものがよく見える保有効果の1つでもある。

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