COLUMN ビジネスシンカー

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2020.08

ビズシンカーインタビュー
始まった「価値の逆転」
これからは地方が生む価値が
東京で生む価値を抜く

リモートワークにふさわしい
「タイニーハウス」を地方で展開

BIZ ● 家ですか?

阪口● いまコロナで家にいることが多くなって、家を修繕しようと思ったんです。それでいろいろ業者に見積りを取らせたら、高いなと思って。さっきカンボジアの話をしましたが、じゃあ自分で木材を調達してできないかなと思って、森林組合にも知り合いがいるので、声かけてみたら結構できそうなんです。ホームセンターに行ったりしたんですが、やっぱり森林組合で切り出した木を製材所で切ってもらって調達したほうが、全然クオリティが違う。知り合いの大工の人にも来てもらってレクチャーしてもらううちに、自分で家が建てられそうだと思って、家を建て始めたんです。

BIZ ● えー、すごいですね。

阪口● ウィズコロナ、アフターコロナを考えたら、これからはそういうニーズが出てくると思っているんです。

BIZ ● どういうニーズですか?

阪口● リモートワークが当たり前になってきて、みんな東京の本社に通わずに仕事ができると気づいたわけです。静かなところで仕事ができるという環境であれば、別に大都市にいる必要はない。地方に移動する人たちは増えるかなと思ったんです。それは完全な移住ではなく、もう少し薄い関係、観光客以上移住者未満の人、関係人口といいますが、そういう人が増える。そのために拠点となる家が必要です。それをDIYキットにして売り出そうと思っています。生活するのには十分な内容とサイズで、海外でいうところの「tiny house=タイニーハウス」です。

BIZ ● DIY...自分で家をつくるのですか...

阪口● 流石に基礎は難しいので、それは専門の業者にお願いします。それ以外は大工さんにアドバイスしてもらいながら、半年くらいで完成する。だいたい200 〜300 万円くらいでできます。それを羽咋市で場所を提供してもらって展開しようと思っています。もともと羽咋市は、「米ぬか」の提供地として繋がりがあったのです。議会も通って、地域の木材を使ったり、移り住みことに対してもいろんな国のサポートもある。それと僕らが提供するタイニーハウスには、希望すると畑がついてきます。もともと耕作放棄地が多く、そういった跡地利用を考えていたわけなので、それができる。いまどんどんその商品のパッケージ化を進めているところです。

BIZ ● それはすごいですね。地方移住が加速しそうですね。

阪口● いままで地方はどこも過疎化に悩んでいて、移住対策を打ち出していましたが、なかなか進まなかった。それは地方で仕事を見つけるのが難しかったから。でもリモートワークなら東京の会社に勤めながら地方で仕事ができるので、関係人口も増えて、移住のハードルが下がる。地方だと空き家が余ってるから、それを利用すればという声もあります。でも庭や家自体も大きくて、住むとなると水回りなど、結構手をいれなければならい。ある意味スペックオーバーなんです。

それが自分の好きな家を好きなように建てるとなれば、愛着が持てるし、ずっと長くいようとも思う。地域の自然を守りながら地域の活性化にもつなげることもできる。

BIZ ● 楽しみです。ほかにもなにか動いているのですか。

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