COLUMN ビジネスシンカー

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2020.11

外国人が来ない今だからこそ鍛える
日本のビジネスマンの教養!
押さえておきたい
日本庭園のキホン

日本庭園の石組は、
仏教や中国の神仙思想を表している

石組が表すテーマは、前述した仏教の世界観を表す「須弥山石組」に「三尊石組(さんぞんいわぐみ)」、中国の神仙思想(しんせんしそう)に基づく「蓬莱石組(ほうらいいわぐみ)」「鶴亀石組(つるかめいわぐみ)」「夜泊石(よどまりいし)」「舟石(ふないし)」、その他として「七五三石組(しちごさんいわぐみ)」「陰陽石(いんようせき)」がある。

神仙思想とは古代中国の神話のことで、海の彼方に神仙島があり、そこには不老不死の薬があるという説だ。神仙島には、「蓬莱(ほうらい)」「方丈(ほうじょう)」「瀛洲(えいしゅう)」「壺梁(こりょう)」などの島があるとされている。

漢時代の武帝はこの神仙思想を追求し、晩年住んだ離宮の庭園では、その池泉(ちせん)に神仙島を築いたことで知られる。武帝はこの際、長寿のシンボルであった亀の形に神仙島をつくり、その対岸に鶴の置物を配置している。

この武帝の逸話から庭園の池泉には、蓬莱島と鶴と亀の島がセットでつくられるようになり、以後中国ではこのスタイルがスタンダード化している。この武帝の世界観は飛鳥時代になって仏教の伝来とともに日本に入ってきて、その造形をいち早く採用したのが蘇我馬子なのであった。

神仙思想の石組は脈々と今日まで受け継がれている。池泉のある庭園では、池のなかに蓬莱島、鶴島、亀島を対にして配置するケースが多く、それは水のない枯山水の庭園でも表現されている。

蓬莱島は理想郷であるため人々を近づけない島とされ、蓬莱石組では、1つの巨石を立石にして峻険な様を力強く示している。

また、鶴と亀は対なので、庭園で亀らしい島を見つけたら、必ず鶴島があるはずだ。注意して探してみるといい。それぞれ石組手法で表現され、とくに亀は亀頭石、亀手石、亀尾石、亀甲石などを使ってリアルに組まれることが多いようだ。

一方鶴石組は鶴の首を表現する鶴首石、羽を表現する羽石で構成されることが多い。

このほか池泉には夜泊石が置かれることもある。夜泊石は宝を運ぶために夜、海に停泊する姿を現している。池のなかに直線的に複数の石を配することが特徴。また舟石は、この世とあの世を行き来する舟を表し、1つの石で表現する。

仏教思想に基づく須弥山石組は、須弥山を中心とした九山八海の世界を表現するために、須弥山に見立てたひときわ高い石の周りをいくつもの石が囲んで配される。また三尊石組は、阿弥陀三尊、釈迦三尊、薬師三尊、不動三尊など三尊仏の姿を3つの石を使って表わす。

三尊石組は石組の基本とされ、真ん中を高くし、左右を低めに配置することでバランスをとっている。石組の基本形なので時代とともにさまざまなスタイルが生まれているのも特徴だ。

こうした神仙思想や仏教から離れ、日本独自で発達したのが、「陰陽石」。陰陽石は子孫繁栄を祈念し、男女の和合を思わせる形で組まれることが特徴だ。とくに江戸時代になると世継ぎを求める大名がつくる大名庭園で、盛んに採用されている。

七五三石組は、もともと神仙思想を背景に中国の縁起の良い数字とされる奇数を並べたもので、7個、5個、3個の塊で表現します。石組みとしては最も組みやすいテーマとされている。

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