COLUMN ビジネスシンカー

  • SHARE
  • LINE
2021.01

曖昧で不安なコロナ時代を生き抜くための
2つの思考法
アート・シンキングと
ネガティブ・ケイパビリティ

モーツァルトよりもチャイコフスキーを好む人が、
その後見解を変えることがあっても、その逆はない

もちろん一般人は、こうした芸術作品に向き合う際には、評論家のような知識は必要はない。まずは「感じる」ことが大事だ。

ただしこの際留意しなければならないのが、作品を鑑賞することと、解釈することを区別しておくことだ。

鑑賞も解釈も万人ができる。ただ上述の通り、時代に即した解釈は専門の評論家がつくっている。もちろん自分なりの解釈はできるが、評論家が定めている一定の解釈から外れたことを言っても共感は得られにくい。

例えば、現代のクラッシク音楽の作曲家や評論家が、最高の作曲家として真っ先に挙げるのはベートーヴェンで、これは揺るがない。個々の好き嫌いはあるが、作品の内容を分析すればベートーヴェンで一致する。

このプロの感覚について、アメリカの美学者のモンロー・ビアズリーはこんな喩えで表現している。「モーツァルトよりもチャイコフスキーを好む人が、その後見解を変えることはある。だがその逆はない」

最初は「好き」「嫌い」から入っても、先に述べたように芸術作品は触れれば触れるほど感度が上がり、よりレベルの高いハイアートの微差がわかるようになる。それはまさに、芸術作品に触れ続けることで、次第に好き嫌いを超え、まさにキースのいう「個別性を打ち消し、ありのままを見て感じる」ネガティブ・ケイパビリティの真髄に近づくことを意味する。

  • LINE