COLUMN ビジネスシンカー

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2021.02

サスティナブルな社会と会社の基軸
ESG、SDGsに取り組む前に知っておきたい
みんなの幸福学

地位財を手に入れると短期間幸せになる。
非地位財を持つと長く幸せになる

社員の幸福度を上げていくためには、どうしたらいいのか。

その前に幸せの状態をどう考えればいいのだろうか。

前野教授は、「幸せの姿は多様だが、幸せにいたるメカニズムは共有できる」と語る。

幸福の形はいろいろあるが、大別すると2つに分かれる。「地位財」と「非地位財」だ。

地位財は、イギリスの心理学者、ダニエル・ネトル氏が示した考え方で、地位財が短期の幸せをもたらし、非地位財が長期の幸せをもたらすという分け方だ。

「地位」とは、自分が他人と比べてどのようなポジションにいるかという意味での地位こと。地位財は、カネやモノ、社会的地位など、他人より多く所有していることで満足を得る財となる。つまり他人と比較して上だと満足度が上がる財だ。

非地位財は、逆に他人との比較とは関係なく満足度が得られる財のこと。

たとえば治安がいい、有害物質が少ない、紛争リスクが少ないといった環境要因や、健康状態の良し悪し、自由や自主性の状態、愛情、社会の帰属意識など、主に無形の心的要因を指す。

前者には高級車や部長や役員といった役職・ポジション、年収や資産など、可視化・数値化しやすい財が挙げられる。それゆえ地位財は短期の満足しか得られない。仮に憧れの高級車を手に入れても、やがて新型車が出たり、それ以上の高級車を持っている人を知ったりすると満足度が下がるからだ。

また地位財の代表であるお金に対して幸福度は特徴的な特性をもつ。たとえば給料が倍になったからといっても、倍の幸福度を得られるとは限らないのだ。

プリンストン大学の名誉教授でノーベル経済学賞を受けたダニエル・カーネマン氏によれば、「感情的幸福」は所得に比例して上昇するが、7万5000ドル、日本円で約780万円(2月1日のレートの換算)を超えると比例しなくなり、頭打ちになるという。デフレが続く日本の物価指数などを考慮すると600万円から700万円程度でも十分かもしれない。要はカネ・モノ・肩書きを目指して、たとえそれを手に入れても満足感、幸福感は長続きはしないということ。

一方非地位財は、心のありようでその価値・満足度が決まるもの。他人と比較する必要がないので、満足度が長続きする。

非地位財に関する研究は世界中で行われている。自己肯定感の高い人が幸福度が高い、他人に親切な人ほど幸福感が高いなど、さまざまなことが分かっている。

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