COLUMN ビジネスシンカー

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2021.03

知らずに「奴隷労働の手先」になってはいないか 知っておくべき
”サプライチェーンのいま”<前編>

外資も含めた売上高60億円以上の企業に
奴隷・人身売買報告書を義務付けた英国

英国が2015年に成立させた現代奴隷法は、7部構成になっている。強制労働や性的搾取の禁止、独立の政府委員会を設け、被害者の保護を定めるなどが盛り込まれているが、なかでも企業関係者にインパクトを与えたのが6部の第54条である。

54条では「サプライチェーン等における透明性」と題した規定が定められている。

ビジネスのグローバル化が進み、長く複雑化したサプライチェーンのマネジメント、いわゆるサプライチェーンマネジメント(SCM)は、AIやIoTの進化ともに発展し、企業の業績、成長を左右する。企業はさまざまな素材をいかに効率よく組み合わせ、生産性を上げ、効率よく顧客に届けるシステムとその管理方法にしのぎを削っている。

そのサプライチェーン上に「透明性を担保せよ」という厄介な負担が強いられることになったのだ。

現代奴隷法の規定では、年間売上高が3,600ポンド(約60億円)以上の企業は毎年「奴隷・人身売買報告書」を作成しなければならないことになっている。

決して数千億、数百億レベルの売り上げの大企業だけを対象としていない。

奴隷・人身売買報告書のレイアウトや構成については規定はないものの、自社の事業活動とサプライチェーンにおいて奴隷労働や人身取引がないことを担保するために実施した全ての取り組みを、印刷物やウェブ上で公表しなければならない。もし、まったく取り組んでないとすればそれもきちんと公表することが求められる。

もしこの義務に違反した場合、英国では内務大臣が規定に基づき裁判所が「強制執行命令」を出すことができる。強制執行命令に従わなかった場合は、上限無制限の罰金が課せられる可能性がある。

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