COLUMN ビジネスシンカー

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2021.03

知らずに「奴隷労働の手先」になってはいないか 知っておくべき
”サプライチェーンのいま”<後編>

日本の貧困に投資する
ゴールドマン・サックス

子どもたちを児童労働から解放することは当人だけではなく、社会全体のメリットにも繋がる。高い教育を受けた人間ほど付加価値の高い職に就けるだけでなく、より高い付加価値を生み出し、社会をより良くしてくれる可能性が高まるからだ。貧困を温床にした犯罪も減り、役人の汚職や賄賂も減るため、組織が効率よく動くようになる(アフリカなどの国々でODAが国の経済成長に結びつかないのは汚職や賄賂が蔓延し、組織やシステムが機能しなくなっていることが大きい。日本も例外ではない)。

子どもたちの人権を守る取り組みは、自社を含む社会の未来への投資なのである。

前編で紹介したゴールドマン・サックス(GS)は子どもの未来に熱心に投資するグローバル企業として知られる。

GSの日本法人は2010年から「GS・ギブズコミュニティ支援プログラム」として日本の貧困撲滅に取り組んでいる。日本の相対的貧困率は15.4%(2019年:国民生活基礎調査/厚生労働省)。6.5人に1人が貧困で、子どもの貧困率が13.5%。7.5人に1人が貧困だ。いわゆる先進国クラブと言われるOECD(経済協力開発機構)加盟国35カ国のなかでは下から10位(2017年)と、低い。国際比較の場合、為替の変動を加味しないと的確な状況は把握しにくいが、日本は長引くデフレで賃金が頭打ちとなっており、大卒初任給では新興国と言われたブラジルや韓国よりも下となっている。少なくとも賃金・所得比較では貧困国に近づいているのである。

GSが日本で行っている支援プログラムの主なものは、児童養護施設で暮らす子どもたちへの「進学支援」、ひとり親への「就労支援」、GS社員がNPOなどとともに様々な社会貢献に取り組む「プロボノ・プロジェクト」などがある。もともとGSには「ゴールドマン・サックス・ギブズ」という世界的なプログラムがあり、GS・ギブズコミュニティ支援プログラムはその日本版と考えていい。GS日本法人がこのプログラムを打ち出したのは、日本で貧困問題が広がっていることもさることながら、教育が高い投資効果を生むという事実を理解しているからだ。

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