COLUMN ビジネスシンカー

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2021.03

知らずに「奴隷労働の手先」になってはいないか 知っておくべき
”サプライチェーンのいま”<後編>

高まる大豆需要が
アマゾンの森林を破壊していく

日本では人口が減り続けるが、世界人口はまだ伸びる。バーチャルウォーターのサプライチェーン問題は、食糧のサプライチェーン問題に絡み、食糧のサプライチェーンは、森林破壊、さらなる温暖化の進行につながっていく。

バーチャルウォーターが増えるのは、世界的に農畜産物の需要が増えるからで、これは人口が増え、生活水準が上がるにつれ、増え続ける可能性が高い。なかでも牛肉需要の高まりは、水を巡っての争奪を激化させ、大豆需要を引き上げ、結果森林破壊を進める。

事実大豆は主要な野菜穀物類のなかでもっとも需要を伸ばしている。1961年から2020年までにその生産量は1312倍に増大した。畑の面積も519倍に広がっている。

ブラジルはこの大豆の生産量を増やしている代表国だ。生産畑はこの半世紀で141倍に広がった。その多くがアマゾンの熱帯雨林地帯である。なぜそうするかというと、熱帯雨林の土壌が豊かだからだ。痩せた土地を開墾して畑をつくるよりも土壌の豊かな熱帯雨林のほうが手っ取り早い。

実は森林破壊はほかにも、パーム油の原料となるアブラヤシの栽培面積の増大で起きている。パーム油は石鹸やマーガリン、スナック菓子、チョコレート、洗剤などの原料として幅広く利用されている万能油だ。パーム油はマレーシアとインドネシアの主力産品となっており、この2カ国だけで世界の8割以上を産出している。需要拡大に伴い2国の熱帯雨林は焼き払われアブラヤシ畑に変わっていった。

熱帯雨林破壊はカカオ豆栽培でも起こっている。現代奴隷の舞台となったコートジボワールはガーナと並ぶカカオ豆の2大産地の1国であり、コートジボワールでは熱帯雨林を焼き払ってカカオ豆を植えていった結果、かつて国土の4分の1を占めていた熱帯雨林は4%にまで縮小してしまった。

地球温暖化は人類の課題だが、かと言って彼らの行為を止めるべきだとは誰も言えない。彼らにも豊かになる権利があるからだ。ならばCO2を吸収する森林を自分たちでつくっていくしかない。

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