COLUMN ビジネスシンカー

  • SHARE
  • LINE
2021.04

天才作曲家ヴィヴァルディを支えた
世界初の女性楽団
「フィーリエ・デル・コーロ」

「才能のある貧困者」と
一緒に学ばせたい!

フィーリエの演奏は18世紀になるとさらに多くの人々の関心を集めた。演奏の質そのものに対する関心もさることながら、なぜ女性が複数の楽器を優雅に演奏できるのかという点からだった。いつの間にかピエタはベネチアやその周囲の都市、国々の裕福な親たちにとって宝塚音楽学校のような存在となっていた。

「ピエタで"才能のある貧困者"と一緒になれば、聖歌隊の娘たちに入れる」という具合に。

このフィーリエの娘たちは、現代に多くの教訓を残している。

もっとも大きなことは、子どもの可能性を早くから1つに絞るな、ということだ。とかく音楽などの芸術やスポーツは早期からの教育がものをいうと思われている。

しかし、必ずしもそうではないことはフィーリエの娘たちが証明している。むやみに絞るより、複数の関心がありそうな分野をやらせてからでも遅くはない。

音楽心理学者のジョン・スロボダによると、8歳から18歳の初心者から難関の音楽学校に通う様々なレベルの生徒を調べたところ、非常に上達した人も、そうでない人も音楽を始めた頃の練習量に差はなかった。上達した生徒がほかの生徒より、練習量が増え始
めるのは自分が演奏したい楽器がフォーカスされてからだという。

200人の演奏家を調べた別の研究では、音楽を辞めてしまった要因として大きいのは「自分がやりたかった楽器と実際やることになった楽器が違っていた」からということが判明している。

このあたりについては、まだ議論が残るところだが、スポーツや音楽などでも絞り込まず複数の分野を走らせていき、いずれ本人が興味のあるところにフォーカスするほうが、その才能を伸ばせると考える人は増えている。

  • LINE