COLUMN ビジネスシンカー

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2021.02

【new comer&考察】
東京オリンピックが開催されなくても需要は高まる
外国人とのコミュニケーションは「やさしい日本語」で

コロナ禍で行方が不安視させるのが東京オリンピック・パラリンピック。選手や関係者へのワクチン接種が間に合うかが大きな焦点だが、WHOは選手を優先することはないと言い切っている。日本国内の接種が間に合うかより、海外のアスリートや関係者に行き届くかが問題だろう。

オリンピック・パラリンピックが開催されなくても、日本の国際化は進む。

ワクチンがいずれ行き渡れば、世界はまた人々の往来は戻ってくる。むしろ我慢した分だけ、激しく移動するのではないだろうか。

日本を訪れる外国人も一気にまた増える。その時の対応準備は、皆さんいかがだろうか?

東京オリンピック・パラリンピックに関しては空前のボランティアを動員する予定となっているようだが、ボランティア採用でハードルとなるのが言葉だ。外国人の言語というと英語を真っ先に浮かべる人も多いだろう。日本は小学校から英語が必修になり、英語がネイティブ並みに話せる小中学生も増えてきた。作文や翻訳についてもいまはネットの翻訳サイトがかなりレベルを上げてきているので、意思疎通ができる程度のやりとりなら十分なものとなっている。

しかし、国際化、グローバル化は外国人観光客が増えることではない。外国人が日本に定住、もしくは長期滞在することも含まれる。そういった外国人が英語を話せるとは限らない。そこでここに来て全国で広がりつつあるのが、「やさしい日本語」という取り組みだ。

やさしい日本語とは、日本人がふだん使ってる日本語を外国人にわかりやすく言い換えた日本語のこと。

現在、行政からの生活情報やニュースの提供などに使われているほか、企業などでも使われ出している。メディアでもNHKを始め、テレビ局、ラジオ局、新聞社などが使い出しており、NHKでは専用サイトや番組、朝日新聞、西日本新聞などが発信している。

とくに近年は自然災害が相次ぎ、日本語を十分理解できない外国人や外国籍の人々にいかに速やかに命を守る行動をしてもらうかは大きなテーマとなっている。

やさしい日本語は1990年代から増えた外国人研修生・労働者などに対して、理解できる日本語に置き換えて伝える方法として取り組みが始まった。

大きなきっかけとなったのは95年1月17日に発生した阪神淡路大震災だった。外国人向けの情報発信が自治体から始まったのは半日後で、しかも英語だった。このため英語がわからない外国人には的確な情報が伝わらなかっのだ。その結果死者の比率が100人あたり日本人が0.15人に対して0.27人、負傷者が日本人が0.89人に対して2.12人と2倍からそれ以上の差が出たのだった。

実は日本に定住している外国人にとってもっとも理解しやすい言語は日本語で、2016年の法務省の統計によれば、英語が44%に対し、日本語が62.6%が理解できるという。英語による情報発信より日本語のほうがより伝わりやすいのだ。無論、英語での情報発信も重要だ。ただ今後外国人が増えるに伴い、多言語化を進めることになると、いざという時に対応ができない。

東日本大震災に見舞われた際、被災地に住んでいた外国人は160 ヵ国にも及んでいる。1国が1言語に対応するわけではないが、まともに対応すると数十ヵ国はくだらない。

そこで災害時に外国人に災害情報を「迅速に」「正確に」「簡潔に」と伝えるために、弘前大学の言語学研究室で考え出されたのが「やさしい日本語」だ。

やさしい日本語では、日本人が通常を使っている5つの観点から言い換える。

1.重要度が高い情報だけに絞り込む
2.あいまいな表現は避ける
3.難解な語彙を言い換える
4. 知ってると役に立つ災害語彙には「やさしい日本語」に言い換えた表現を添える
5.複雑でわかりくい表現は、文の構造を簡単にする

表記の特徴としては、ルビを必ず振ることと、分かち書きをすることだ。

こうした原則に則り、2005年に17 ヵ国からの留学生、88名に一般的な日本語とやさしい日本語で同じ内容の災害情報を出し、どれくらい理解し行動できたかを検証した。

すると、やさしい日本語での指示に対しては95.2%が理解し行動できたのに対し、一般の日本語での指示では10.9%しか理解行動ができなかった。命が関わる災害情報でこの差は極めて大きい。

現在、やさしい日本語は自治体の行政などを中心に広がっていると話したが、全国レベルに至っていない。バスや電車などの公共交通機関などでの採用もあまり見かけられておらず、民間での普及はまだまだだ。今後は飲食店や小売店、スーパー、旅館、ホテル、遊技場などで効果を発揮していくだろう。

やさしい日本語は、今後増えていく機会翻訳、自動翻訳にも応用できる。とかく主語が曖昧な日本語を的確に訳すにも、有効だとされる。

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