COLUMN ビジネスシンカー

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2020.04

【new comer&考察】
人間が勝手に格付けされる時代に!?
増えるAI信用スコアビジネス

社会規範の向上のためにAI信用スコアを使う中国

14億の人口を抱える中国では、「国民の社会規範」の向上を目的として国抱えで2015年から進められている仕組みで、代表的なAI信用スコアを提供する会社にはアリババグループの「ジーマ信用(芝麻信用)」がある。

ジーマ信用はアリババグループでのサービス利用歴などから信用度を分析してスコア化、最低350点から最高950点で表現している。スコアは350 〜550が信用較差、551 〜600が信用中等、601 〜650が信用良好、651 〜700が信用優秀、701 〜950が信用極好の5段階に分けられる。高スコアとなるとさまざま優遇が受けられる。ホテル、シェアリングサイクル利用時、図書館の貸し出し、電気自動車レンタル時の保証金免除、雨傘の無料レンタル、観光旅行のビザ申請の簡素化などの特典がある。

算出されるスコアは「身分特質」「履約能力」「信用歴史」「行為偏向」「人脈関係」の5つの軸から分析される。「身分特質」は学歴や職歴、免許証や資格、「履約能力」は過去のローンや負債の支払い能力を示し、住宅購入積立金、不動産やクルマなどの資産も分析、「信用歴史」はクレジットカードなどの利用歴、「行為偏向」は消費趣向でネットショップやリアルショップでの購入歴などから分析され、「人脈関係」はSNSなどのアカウントからの交友関係を分析している。

単純に過去の金銭の貸し借りや返済能力だけをみるのではなく、社会的な行動性向までをもみているのがこのAI信用スコアの特徴と言える。

また、中国ではこうしたAI信用スコアサービスを事業として始めるためには、中国中央銀行である中国人民銀行の認可を得なければならない。AI信用スコア事業はほかにもテンセントなどもテンセント信用などを展開しており、いわば公的な格付けにも似たシステムとなっていることもあり、利用者は拡大している。

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