COLUMN ビジネスシンカー

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2021.08

ビズシンカーインタビュー
エネルギーも食料も医療も。
利雪がGDPを押し上げる!
世界一の豪雪国「日本」の利雪戦略

畜産業、農業の管理コスト、
安全性も改善

それと冷熱が応用できると思っているのが、畜産業ですね。

都会の人はイメージしにくいと思うんですが、鶏卵の鶏舎というのは、鳥インフルエンザ対策もあって外部から野鳥が入らないよう締め切っていて、しかも暗いんですね。鶏からすれば暑いなかでストレスがかかるところで卵を産めと言われても、そうそうできないと思うんです。実際鶏舎を雪冷房する実験したことがあるんです。少し冷やしてあげることで産卵率が上がるようなんです。

これは豚舎や牛舎にも応用できプラスの効果があると考えています。こうした分野に雪を使った冷房システムが使えれば経済的であり家畜にとってもより健康的であると思います。

いま太陽光パネルを使って、冷房しているようなところもありますが、少なくとも雪国では雪を使ったほうがいいかもしれない。

BIZ●消費者としては少しでも健康的な動植物の栄養を摂りたいですからね。

伊藤●それからやはり学校ですね。18年前に上越市の安塚地区にある小学校に冷房が導入されたのですが、雪冷房を使ったシステムなんです。その雪冷房システムの設計に携わりましたが社会人になって初めて任された大きな仕事でもありました。さらにその2年後には中学校にも雪冷房を入れました。中学校では太陽光パネルも導入したので、発電もできる。それと冷房に使った雪解けの水、雨水はトイレの洗浄水に使いました。自然のエネルギーをフルに使った学校として話題になりました。

雪冷房の研究もだいぶ進み、いろんなことが分かってきています。

たとえば雪冷房は質のいい空気をつくってくれるんです。雪が空気中のゴミや水溶性ガスを吸着してくれたり、非常に環境にいい。先日も空気調和・衛生工学会というところから講演の依頼が来ました。それから健康面からも注目されつつあります。

BIZ●どんなことですか。

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