COLUMN ビジネスシンカー

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2021.08

エネルギーも食料も医療も。
利雪がGDPを押し上げる!
世界一の豪雪国「日本」の利雪戦略

続々解明される雪のすごい効果

BIZ●どんなことが分かってきているのですか?

伊藤●たとえば、じゃがいも。電気冷蔵庫と雪室で150日冷蔵したものとを比較すると、アミノ酸には大きな変化は見られませんでしたが、糖の量は雪室のものがどんどん増加し、2倍の差がつきました。

また食品に含まれる香気成分についても、日本酒を150 日にわたって常温、電気冷蔵庫、雪室で保存したところ、古くなると現れる老香(ひねか)が、雪室ではほとんど発生しませんでした。

これは新潟県食品研究センターや東京農業大学や秋田県立大学との共同研究でわかったことです。そうしてわかったことを、大学で教えたり研修会でお話したりしています。

そもそも食品というのはとてもデリケートで、わずかな貯蔵環境の変化でも影響が出ます。温度、湿度だけでなく振動でも大きな影響が出ます。しかも一旦、化学反応が起きてしまうと、そのスピードが加速するのです。しかし雪室は電気冷蔵庫のような機械的な振動や光の影響を受けません。

いまそうやってデータや研究が進んで、いろいろなことが分かってきて、大学や企業からお声がけいただくようになってきました。数年前に比べても産学連携などがしやすくなってきたと感じています。

先日もある大手自動車会社の方が相談に来られました。雪室の営業倉庫を使いたいということです。つまり工場で雪室を使うことはできないけど、カーボンオフセットとして雪室冷蔵倉庫を使う。

BIZ●自動車工業会の会長の豊田章男さんが言ってましたが、EVシフトはそれほど単純なことではないと。EVに切り替わったら電飾消費が上がり、原発10基分、火力発電で20基分が不足すると言ってました。EVの行方はともかく、従来の冷蔵倉庫が雪室式に変われば、CO2 排出削減の大きな力になりますね。

伊藤●自動車業界、流通業界全体に広がるといいと思いますね。太陽光発電やいろんな技術が組み合わさればスマートシティとしても広がるでしょう。そのためにはもっと雪のコンテンツを増やしていく必要があると思っています。

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