COLUMN ビジネスシンカー

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2021.09

混迷を深めるVUCAの時代だからこそ。 知っておきたい
「大人の義賊史」

世界はさまざまな基準でできている

当たり前だが世界は1つの価値基準でできているわけではない。とくに正義は時に真っ向から対立する時がある。混沌とした時代は正義がいくつも生まれ、ぶつかりあい、さらに混迷に招くこともある。

混沌とした時代を読み解いていくには、より俯瞰した視点と、仰視した視点が必要だろう。人の評価もどこを軸にするかで変わってくる。

人間は誰もが清廉潔白な存在ではなく、誰もが佞悪醜穢な存在ではない。その間で揺れ動く存在だ。だとすればより清廉潔白な方に寄せて評価し続ければ、その本人も清廉なほうに近づくのではないか。

唐突だがルパン三世をご存知だろうか。そう、漫画家故モンキー・パンチさん原作の人気マンガ、アニメである。

主人公のルパン三世は、各国から指名手配を受ける世界を股にかける大泥棒であるが、決して人を傷つけるようなことはせず、スマートに世紀の財宝をやすやすと手にする。しかも可愛い娘にめっぽう弱く、ときに涙もろい。

ルパン三世の祖父は「怪盗ルパン」ことアルセーヌ・ルパンという設定。アルセーヌ・ルパンは紳士で冒険家で変装の名人であり、貴族の城や資本家の邸宅などに侵入しては財宝を盗んでいく大泥棒でありながら、虐げられている女性や子どもたちの庇護者としての顔を持っていた。孫のルパン三世も決して弱い者や女性をいじめず、故意に人を殺めたりはしない。

財産を奪われたほうからすれば、忌々しい限りの存在だが、片や恩恵を受けた側からすれば、神や菩薩の存在だ。

別の時代を生きた二人の共通項は、"義賊"であったこと。

もちろんアルセーヌ・ルパンもルパン三世も実在しないフィクションだ。しかし歴史を紐解くと義賊と呼ばれる人や集団は世界中に実在しており、各地に散在していた。

義賊は時に無法者、アウトローなどと呼ばれる。

つまり誰かが決めた法律や法則の外で生きる者たちだ。資本主義を信奉する人にとっては共産主義や社会主義は別世界であり、別のルールで生きている人たちに見えるが、逆もまた真なり。キリスト教の信奉者からはイスラム教の考えは理解に苦しむことになるし、逆もまた同様だ。

義賊が単なる盗賊ではなく、義のある泥棒として多く、あるいは一部の人々に快哉をもって受け入れられているのは、恩恵を受ける側にとっては1つの正義を実現しているからだ。

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