COLUMN ビジネスシンカー

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2021.09

混迷を深めるVUCAの時代だからこそ。 知っておきたい
「大人の義賊史」

「世界一貧しい大統領」ムヒカさんは
現代の義賊だった

こうした義賊は工業化、近代化の過程のなかで搾取させていた農民や貧しい市民などから生まれてきている。やがて農民や市民が自立していくなかで、その役割が薄れていく。義賊自身も目的なき襲撃や殺人を起こす場合も多く、必ずしもロビン・フッドのような高貴な義賊物語ではなかった。

こうした義賊の話は過去の伝説や小説として語り継がれるだけの存在かと思われるが、現代にも脈々と生きている。

たとえば、少し前に「世界一貧しい大統領」として世界中で話題となったウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領。日本にも来日している。

貧困家庭に生まれたムヒカさんは7歳の時に父親を亡くす。貧困のなかで自分と周りの環境を変えようと10代から政治活動に関わり、一時期はゲリラ組織にも参加。大企業を襲撃し、強奪物を貧しい人に配るという活動をしていた時期もあった。その活動のために投獄されること4回。6発の銃弾を受けて瀕死の重傷を負ったこともあった。投獄期間は実に13年に及び、その後釈放されてからは、1994年にウルグアイの下院議員に当選。2010年に大統領に選出されている。逆転の男版シンデレラストーリーに思えるが、大統領就任中は約月100万円の報酬のうち9割を寄付。公邸に住まわず自宅で畑を耕しながら職務をこなしたとされている。持っている資産は中古の自宅とトラクタとフォルクスワーゲンのビートルが1台とのこと。まさに現代の高貴な義賊と呼べる存在なのだ。

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