COLUMN ビジネスシンカー

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2021.10

知っていれば、ビジネスが楽になる! 経営心理学の基本講座

高位の欲求になるに従って、満足度が少なくても
満足感が得られる心のしくみ

「そんな人財はウチの会社にはめったにいないし、そんな人財を増やすのは容易ではない」と思うかもしれない。

しかし、そんなに「容易ではない」ことではなさそうだ。マズローは、低位の欲求から上位の欲求に移行するためには、現時点の欲求が完全に満たされる必要はないと言っているからだ。たとえば生理的欲求は85%が満たされれば、上位に移行し、安全欲求では70%、社会的欲求では50%、自尊的欲求では40%で、自己実現の欲求は10%の達成度で満足するのだそう。

つまり、人の欲求が満たされるのは必ずしも100%の必要はなく、しかも高次になればなるほど、わずかな達成率で満足するものなのだ。

またマズローは、低位の欲求は賃金や職場施設などのような外的なもので満たすことができるが、高次になればなるほど内的なことで満たされると言っている。

つまりある程度の欲求は賃金や施設で満たすことができるが、成長している人間に対しては、より挑戦的な仕事や創造的な仕事を与えるほうが、満足度が高くなるということだ。

実はマズローは、自己実現の上にもう1つの段階を設定している。それが「自己超越」のステージだ。

自己超越のステージに入った人間はどのようなものなのだろうか。マズローによれば次のような特徴を持っているという。

1)「在ること」の世界についてよく知っている

2)「在ること」のレベルにおいて生きている

3)統合された意識を持つ

4)落ち着いていて瞑想的な認知をする

5)深い洞察を得た経験が今までにある

6)他者の不幸に罪悪感を抱く

7)創造的である

8)謙虚である

9)聡明である

10)多視的な思考ができる

11)外見はノーマルである

さながら高僧か神といったような人間だが、マズローによれば、自己超越している人は人口の2%ほどいるとのこと。無論こうした人がいるからと言って、その会社の業績に結びつくとは限らない。

知っておくべきは、人間は「お金」や「モノ」だけで動く存在ではないということだ。

こうした心の原則を知っておくことは、とりわけ中小企業には重要だ。なぜなら経営資源が限られている中小企業では、社員の能力を引き出せるかが会社の未来を決めるからだ。

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