COLUMN ビジネスシンカー

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2021.10

【new comer&考察】
非接触サービス、続々。コロナで完全移行⁉
変わる小売の「あたりまえ」。

これまでの店舗やショールームの概念も覆す非接触サービスも生まれている。女性に人気のアパレルブランド「foufou(フーフー)」は、誰の眼を気にすることなく納得いくまで試着できる、完全無人の試着部屋「the room」を昨年夏にオープンさせた。1組(3人まで)限定の予約制で利用希望者はメールで送られてくる暗証番号でカギを開けて入室。店舗でもなく、ショールームでもない"自分だけの秘密部屋"でとことん試着をし、気に入ったらネットから購入する。週3日間のみの営業だが大盛況だという。

非接触化はホテル業界でも進んでいる。プリンスホテルグループの新ブランド「プリンス スマート イン」では、チェックインからチェックアウトまで一切の接客なく利用できる。事前予約しておき、ロビーの顔認証型自動チェックイン機でチェックインした後は、自分のスマホがルームキーとなる。全客室に多言語対応スマートスピーカーと、天気予報などを表示するスマートミラーも設置している。ロビーではサービスロボットが巡回清掃と施設内の巡視を行う、近未来型ホテルとなっている。

日常的にどうしても接触するものがドアノブやエレベーターのボタンだ。いま、自分の指の代わりに触れてドアを開けたり、エレベーターボタンを押したりする非接触ドアオープナーがさまざま売り出されているが、エレベーター・エスカレーターメーカーの「フジテック」は、その根本問題を解決すべく「エアータップ」を開発した。エアータップはボタンから赤外線が出ており、手や指でかざすとボタンが反応する、タッチレス式。また目が不自由な人のために、点字で階を認識して押すと反応するように、バリアフリーな設計ともなっている。

非接触化で暮らしの安全・安心度は高まり、また人件費の抑制などを促し、経営の効率化にもつながるが、人との交流やコミュニケーションが減るのはいささか残念な気もする。非接触社会でいかに日本らしい「おもてなし」を実現していくかが、アフターコロナの課題になってくるだろう。

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