COLUMN ビジネスシンカー

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2021.11

エコノミスト・アナリストはこの経済指標を使う! ビジネスマンだけではなく、
日本人が知っておきたい経済指標

世界経済に影響を与えるアメリカの個人消費指標

ではアメリカ経済のどのような指標を見ていけばいいのだろうか?

一つはやはりGDPだ。なかでも個人消費の動向だ。日本の場合はGDPの約6割が個人消費部門だが、アメリカはもっと多く7割が個人消費だ。

もう一つ重要な指標となっているのが、住宅投資。日本は貯蓄性向が高い国民性で知られるが、アメリカは借金をしてでも消費をする人が多い国。GDPにおける個人消費の割合が大きいのもこうした面が影響していると言える。

その最大の買い物が住宅だ。住宅は単に家を買うだけでなく、家具や家電など一緒に購入するものが増える。よって住宅投資が増えることはほかの個人消費が増えることにも繋がるのだ。さらにアメリカの場合は、自分が持っている住宅の価値が上がると、その価値の上昇分を担保にお金を借りることができる。住宅投資が増えれば、その期待も上がり、価格が上昇、借りる額も増えて消費が増えるというわけだ。

単純にGDPの大きさで世界一のアメリカは、世界で最もモノを買う国であり、その個人消費の動向は世界に影響を与える。グローバル化によって世界に出ていった日本の製造業にとってもアメリカの個人消費マーケットは無視できない。

さらに安倍政権以降、インフレターゲットという言葉が使われるようになった。一定のインフレ率を目標に経済を成長させる政策だが、そのインフレ率は2%。これは既述したように民主党政権から続いている目標だが、これをターゲットにする政策を打ち出すことを明確に内外に示したわけだ。

実はインフレターゲットはヨーロッパでは先行して導入されていた。アメリカが導入したのは最近のことで、日本もこれを導入しようという声はあったのだが、日銀サイドが、アメリカが導入していないことなどを理由にこれを拒否していた。しかし安倍政権になってからは、アメリカが導入したこともあり、これを導入するようになったのだ。

なぜ2%という数値なのかというと、2%を超えると金融引締めの方向に動きやすく、これを下回ると金融緩和に傾きやすいためだ。もちろん実際はうまく2%が続くということが保証できるわけではない。

いずれにせよこうした理由もあって、以前より日本経済はよりアメリカ経済の影響を受けやすくなった。よってアメリカの経済成長率やインフレ率の動向は当然注視されることになったのだ。

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