COLUMN ビジネスシンカー

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2021.11

エコノミスト・アナリストはこの経済指標を使う! ビジネスマンだけではなく、
日本人が知っておきたい経済指標

GDPの内訳に注目する
―最も多いのは個人消費

またエコノミストやアナリストがGDPを見る時は、どのようなセクター(部門)にどれくらい貢献しているかに注意を向ける。どの部門がどの程度の割合を占め、どのくらいの成長が見込めそうかなどを判断するのだ。

GDPは需要、供給、収入の3面から評価され、それぞれの合計が一致する。そのなかで注目されるのが需要面からの評価だ。経済成長とはどれだけ需要があるかによって決まってくるからだ。

日本は言うまでもなく、長い間デフレに悩まされてきた。モノの価格が下がることで消費が落ち込み、企業の業績が伸びず、よって社員の給料も上がらず、家庭の財布が締まり、そしてまた消費が落ち込むというデフレのスパイラルに陥っていた。

そのため歴代政権の課題はデフレから脱却し、GDPを拡大して経済成長率を高めていくために、インフレを起こすことだった。

ただ、だからと言って単純にインフレが起きればいいのではない。インフレには「良いインフレ」と、「悪いインフレ」があるからだ。

前者は、景気の拡大によって需要が高まり、物価が上がっていくデマンドプル型インフレだ。後者の悪いインフレとは、先にも触れた、海外からの原油や穀物など原材料などの輸入材の高騰によって起こるコストプッシュ型インフレだ。2021年の11月現在、まさにこの傾向が起こりつつある。コロナ禍の収束傾向が見え始めるなか、世界中で経済活動が一気に活発化する動きを受けて、鉄鋼、原油などの原材料費が高騰。ガソリンや食品など市民生活に大きな影響を及ぼし始めている。

日本は為替相場において円高ドル安が続き、クルマや機械など輸出産業や海外展開をする企業にとって苦しい時代が続いたが、安倍政権になってからは円安に振れ、輸出産業は息を吹き返した。だが内需型産業にとっては、円安で原材料費が高騰し、値上げをせざるを得ない状況になり、市民生活はダメージを受けた。さらにコロナによって購買力が低下し、世界的な経済活動の再開で円安となり、さらに原材料費が跳ね上がって、内需拡大に水を差す状況になっている。

さてGDPを需要面の内訳を見ていくと、まず「国内需要」と「海外需要」に分かれる。海外需要は国内で生産された総付加価値なので、輸入を引かなければならない。したがって海外需要は輸出から輸入を引いたものになる。

片や国内需要は大きく「民間需要」と政府や自治体が出費した「公的需要」に分かれる。うち民間需要はさらに次の4つに分かれる。

1)「民間在庫品増加」
メーカーや流通業者の売れ残りの増減
2)「民間企業設備」
企業の事業活動に必要な機械類、工場、店舗などの設備に対する企業の投資
3)「民間住宅投資」
民間人が住む住宅建設のための支出
4)「民間最終消費支出」
民間の個人がふつうに買い物をした場合の支出の合計

一方公的需要のほうは、次の3つに分かれる。

1)「公的在庫増加」
政府が備蓄している原油や米、金貨などの変動
2)「公的資本形成」
橋や道路などの社会資本整備のための支出。
いわゆる公共投資
3)「政府最終消費支出」
公務員の給与などの人件費や医療費などの社会保障費

このうち民間最終消費支出は日本のGDPのうち最も大きなウエイトを占めており、約6割強。次に大きいのが公的需要の政府最終消費支出、次に民間企業設備の順となっている。

個人消費が伸びることがいかに日本の経済成長率に寄与することになるかがわかるだろう。

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