COLUMN ビジネスシンカー

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2021.12

ビズシンカーインタビュー
「明日をつくる人」インタビュー
使用済みの紙をオフィスで再生紙に
世界初、セイコーエプソン
「PaperLab(ペーパーラボ)」は
“紙の未来”と“社会の未来”をどう変えるのか

BIZ●衝撃でほぐれるものなのですね。ほぐれた繊維はどうなるのですか。水があれば「漉く」ことになりますが......。

岡村●ほぐした繊維はペーパーラボのなかで綿のようにふわふわになります。それを積層させて加圧してシート状に成形していきます。そのために「ペーパープラス」という独自素材を開発しました。ペーパープラスで結合させ、シート化させます。

BIZ●「ペーパープラス」で結合・シート化だけでなく、白以外の青や赤、黄色の紙が作れるのですね。

岡村●はい、ペーパープラスによって紙に色を着けることができます。いま当社のホームページでは、ユーザー様の事例を紹介していますが、書類を紙の色で使い分けしている企業さんや自治体さんが結構あります。

BIZ●確かに白地にタイトルだけより、ひと目で何を目的とした文書なのか、わかりますしね。2012年に始まった開発ですが、実機が完成したのはいつ頃ですか。

岡村●2015年12月に東京ビッグサイトで開催された「エコプロダクツ2015」でまず試作機を発表しました。

BIZ●反応はどうでしたか。

岡村●非常に多くの方にお越しいただきました。報道関係者の方は31社来ていたようです。こちらの予想以上の反応で、テレビや新聞の取材が続き、海外からも問い合わせがきました。

BIZ●オフィスで紙が再生できるなんて、驚きですからね。話題になるのもわかる気がします。市販機が発売されたのはいつ頃ですか?

岡村●試作機に改良を重ねて、2016年の12月に発売しました。エプソンでは、ペーパーラボの価値に共感して導入していただいた企業様、自治体様を「プレミアムパートナー」として使用データや活用法のアイデアを提供していただいており、さらなる機能や商品価値向上につなげていきたいと考えています。

2017年1月には銀行さんをはじめ、3つの得意先でトライアルとして導入していただきました。ペーパーラボは自治体の方にとくに好評で、都道府県で一番最初に導入された秋田県庁さんは、稼働率が日本一で1日3,000枚以上を目標に製紙しています。

BIZ●自治体の方は環境保全の政策を策定したり、モデルになるわけですから導入はその推進材となりそうです。皆さんどういった目的で導入されて、どのような効果を上げているのでしょうか。

岡村●秋田県庁さんの場合は2012年度から2016年度まで紙の使用量を削減することを目標にしていたようで、それで導入を検討されたようです。導入後は着実に目標に向かって進んでいるようで、目標を超える削減ができそうとの声もいただいています。

東京都の大田区さんでも高い稼働率で使っていただいています。大田区さんは2000年「エコオフィス推進プラン」を策定して環境負荷軽減に取り組んでいたようですが、コピー用紙の削減がなかなか進まず、2016年度にはコピー用紙の使用量は過去最高になってしまったのです。量にして400トン。なんとかしたいということで「エコプロダクツ2015」に出向かれたところ、ペーパーラボに出会い、弊社の工場で試作機を見学されて導入に至りました。現在は1回15〜20kg、3,000枚前後の紙を再生しているとのことです。

小学生などの施設見学の際にペーパーラボの実演などを見せて、環境教育に役立てているケースも県庁や市役所であります。

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