COLUMN ビジネスシンカー

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2022.01

あらゆる企業が押さえておきたい トヨタのTPS(トヨタ生産方式)と現場発想の原点

ランプを点けた作業者に「呼んでくれてありがとう」と上司が言う

このアンドンと同じように、作業の進捗状況やトラブルを知らせる仕組みは、今やどこの工場にもある。

しかし、その意味を理解して使っているメーカーや監督者はどれほどいるかは疑問だ。

トヨタが違うのは、黄色のランプが点いたらその作業者に監督者が「ありがとう」ということだ。大野はアンドンを導入した時、監督者たちに「(ランプが点いたら)どんな時でも"ありがとう"と言え」と言った。

この上長の言葉がけが浸透してからは、止めることに躊躇していた作業者たちも安心してアンドンんを引くようになったと言う。たとえそれがトイレではなく、実際にトラブルが起こり、それが作業者のミスであったとしても、監督者は「呼んでくれてありがとう」と言うのだ。

それは今でも変わらない。作業が遅れたりミスが出たりしたときに作業者は躊躇なく、アンドンを引き、監督者を呼ぶ。すると「よく呼んでくれた、ありがとう」と必ず言うのだ。

それは海外でも同じで、アメリカの工場で黄色いランプがつくと上司が「サンキュー」と言っている。

仕組みをつくっただけでなく、その意味と本質を理解させてクリエイティブで魅力ある職場をつくっていく。こうした取り組みの一つひとつが世界の名だたるマネジメント研究者たちをトヨタ生産方式=TPSに惹き付ける理由となっているのだ。

TPSの書物は世の中に数えきれないほどある。その全てを紹介することはできないが、その原点となる仕事哲学と、世界中に広まったカイゼンの"いろは"を最後に紹介しておこう。

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