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VUCAの時代だからこそ ツキを掴み、人生を好転させる口癖を身につける

 パンデミックが収束しないうちに、まるで19世紀に戻ったかのような軍事侵攻を目の当たりにし、世界が怒りと嘆き、混乱が渦巻いている。突然日常の平穏を奪われたウクライナの人々を見て、世界はなんとも無慈悲だと思わずにいられないが、現代社会の平和や安心の基盤は思いのほか脆いのだと改めて認識せざるを得ない。
無辜の命は1人でも奪われないよう祈るばかりだ。
 世界は不平等だ。一部の権力者が恣に振る舞う姿をこうも見せつけられると無力感に苛まされてしまいそうだが、それでも一人ひとりが幸せになる可能性を捨ててはいけないと思う。
 とかく強力な権力を持つ人や、1代で大企業をつくり上げた人、誰もが知る俳優やアーチストの作品や仕事振りに接し、思わず「持っている人はどこか違うな」と思ってしまうことはあるだろう。
 それは持って生まれた才能の違いであったり、その時の環境であったり、その上で努力も人一倍してきたからこその結果かもしれない。では自分は才能や環境に恵まれた人に比べて「持っていない」のかというとそんなことはない。
 運やツキがちょっと足りないだけかもしれない。そういった「足りていない人」は、運やツキを呼び込む方法はないのだろうか。実はある。
もっとも簡単にできること。それはツキを呼ぶ口癖を身につけることだ。

口癖は潜在意識に作用し、
気づかないところで支配される

「えっ?そんなことだけで…」
「口癖を変えるだけで、ツキがある人間に変われるなら、努力は要らないだろう」と思ってしまう人もいるだろう。
 しかし、長年ビジネスに関わってきた方なら分かるはずだ。
「同じようなことをやっているだけなのに、彼だけがうまくいっている」「ヤツの会社のほうが調子がいい」という人たちがいることを。
その秘訣は意外とツキを呼ぶ法則を知っているからかもしれない。
『うまくいっている人の「口ぐせ」の法則』の著者で、産業カウンセラーの植西聰さんは「どんな夢でも口癖一つで実現できる」と断言する。
「夢や希望を実現したいと思うのであれば、それを毎日唱え続けることです。『こうする。ああなる』と毎日唱えて、その言葉を口癖にすることです。そうすれば、必ずその夢や希望が叶う日がやってきます」
 植西さんによれば、人間は潜在意識によって気づかぬところで支配されており、潜在意識は人間のさまざまな情報に反応してさまざまな現象を引き起こし、突然顕在化するのだという。
 従って意識して良い言葉を使っていれば、いい情報が潜在意識に働き、良い反応が生まれ、良い行動に結びつくことになるわけだ。
 この時大事なことは、その夢や希望を疑ってはいけないことだ。
「自分は本当にお金持ちになれるんだろうか。やっぱり無理なんじゃないだろうか」と疑いを持ったトタン、潜在意識にマイナスの情報が伝わり、夢や希望の障害となるようなことを引き起こしてしまうのだ。
「幸運を引き寄せて夢や希望を叶えるためには、疑いや迷いを持つことなく、強く願うことが大切なのです」

 幸運を引き寄せる7つの言葉の法則

 植西さんは、幸運を引き寄せる言葉には、7つの法則があるという。植西さんの言う7つの法則とは次の思考習慣である。

①上昇思考
より上をめざす向上心や探究心を生む思考習慣。「やってみよう」「がんばるぞ」「よし、もう一歩前へ」「もっと、もっと」など。

②可能思考

希望を持ち、積極的に生きていこうとする思考習慣。「できるんだ」「どうにかなる」「あきらめない」「きっとうまくいく」「さあ、これからだ」など。

③行動思考

果敢に行動する、積極的にチャレンジしていこうとする思考習慣。「やってみよう」「とにかく動いてみよう」「当たって砕けろ」「行動あるのみ」「なせばなる」など。

④楽観思考

悲観的にならず、人生をプラスに変えていこうとする思考習慣。「だいじょうぶ」「心配ないよ」「クヨクヨしない」「必ず、いいことが起こる」「悪いことなんて起こるはずがない」など。

⑤自愛思考

自分の生き方を大切にしていこうとする思考習慣。「自分が好きだ」「私って、捨てたもんじゃない」「私には長所がある」「私なら、こんなこと簡単だ」「これが私の生き方です」など。

⑥尊重思考

他人の人生観や考え方を尊重していこうとする思考習慣。「その通りです」「あなたの意見に賛成です」「ごもっともです」「なるほど、よくわかりました」「これはあなたにお譲りします」など。

⑦貢献思考

人に喜びを与えて貢献していこうという思考習慣。「ありがとう」「おかげさまで」「お先にどうぞ」「あなたのために」「愛してます」など。

 不運を引き寄せる言葉は、使わない

 幸運を呼ぶ口癖がある以上、不運を招く口癖もある。とくに「辛いこと、苦しい状況にある時こそ、言ってはいけない言葉があるのだ」と植西さんはいう。
 辛い時に言ってはいけない言葉とは、マイナスイメージの言葉だ。
 たとえば、「もうダメだ」「おしまいだ」「もう堪えられない」「苦しい、悲しい、辛い」「もう可能性はない」など。
 こうした言葉が出るのは本当に苦しい時だから、この言葉を口にするなというのは酷なようだが、ネガティブな言葉も自分の潜在意識に働きかけるので、より悪いことが引き起こされる可能性があるのだ。苦しい、辛い状況では積極的で肯定的な言葉を意識的に使うと事態が好転していくようになる。
 たとえばこんな言葉だ。「可能性はまだある。大丈夫」「これからが本番だ。面白くなってきた」「楽しい、素晴らしい、うれしい」「自分は運がいい」
 これ以外にも使ってはいけない言葉がある。意外なダメ言葉が、「言い訳」言葉である。
「ですが」「でも」「しかし」「だけど」という言い訳によく使われる言葉だ。これらの言葉をよく使う人は当然言い訳がましい人とみられてしまう。また、これらの口癖がある人には「謝らない」という共通の態度がある。この口癖を持つ人はどうしても言い訳が先に立つので、謝ることができないのだ。
 心配性の人も要注意だ。脳はこういう思いを実現したいという思いを実現するようにできているので、不安なことを口にすると行動がそのように向かってしまうのだ。「心配だ」「不安でしょうがない」「うまくいかなかったらどうしよう」といった言葉は、使っているとその通りになってしまう。
 どうしても不安な時は次のような言葉を口にするようにするといい。
「悪いことなど起きるはずがない」「いいことが起きるに決まっている」「よし、やってみよう」「なるようになるさ」

人は誰しもが
「勝ち組遺伝子」を持ってる

 ツキは人類が持っている共有資産であり、生み出すことができる。日本と米国で事業を成功させ、医学博士、理学博士、農学博士号を持つ、故・佐藤富雄さんは著書で「ツキは偶然でも奇跡でもない。すべて本人自らがつくり出している」と語っている。
 佐藤さんによれば、「自分がツイていると思っている成功者には、ある共通の『性質』がある」という。それは「良い思い込み」を持っていることだ。
 佐藤さんは、ツキを呼ぶ実践者であり、医学博士号、理学博士号を持つ生物の専門家として科学的に検証しているのだ。
 佐藤さんによれば、いま生きている私たちは全員、勝ち組遺伝子を持っているのだという。つまり誰もが勝ち組として生き残っている成功者であり、成功する遺伝子を持っているというのだ。
 その理由はこうだ。
 人類の歴史は500万年前に始まり、4回もあったとされる氷河期を乗り越えてきた。とくに最後の氷河期は人類にとってかなり過酷だった。当時はすでにヒトの体毛は現在と同様にほとんどなく、体温を維持しながら、少ない食料を確保し、生き延びなければならなかったからだ。
 その進化プロセスのなかでは、同じ人類として生まれながら途絶えてしまった種もある。つまり現在、私たちが生き残って文明社会を築きあげたことは、それ自体が、生き延びた「勝ち組」の証なのである。
 言うまでもなく我々が生き延びてきた最大の理由は、ほかの哺乳類に比べて脳が発達したからだ。

 シナプスネットワークが、
 勝ち組遺伝子をアップデートさせる

 脳が発達するということは、脳細胞が増えることではない。細胞の数は生まれた時に決まっている。脳が発達するのは、1つの細胞からニューロンといわれる突起が最大10万も生まれ、それが伸び、脳の神経細胞を繋ぐシナプスという結び目が増殖するためだ。シナプスはいわば脳の情報ネットワークの網目だ。これが密になればなるほど、複雑な情報のやりとりができるようになる。
 のみならずシナプスネットワークにより、人間は記憶の集積や知識の整合、言語の複雑化、思考の形成などができるようになっていく。
 そのシナプスのネットワークを増やし、脳を発達させるためには、何よりも「明確な目的意識を持つ」ことが重要になる。
 というのも明確な目標を立てれば、その達成のために、知恵を絞る、創意工夫をする、学習するといった複雑な作業が繰り返されるようになるからだ。
 学習が進んで高度な知能を獲得すると、その情報を受け継いだ次世代の個体は、「勝ち組遺伝子」を媒介として、さらに脳の潜在能力を高める。こうして勝ち組遺伝子を持った人間の脳はどんどんアップデートされていく。

目標が明確になれば、
必要な情報以外を遮断する脳のメカニズム

 私たちの勝ち組脳は、明確な目標を持つとどんどん発達する。これは本来脳のなかにインプットされた夢や願いごとを、現実のものにしようとする機能が備わっているからだ。これは人間が進化の過程のなかで得た能力の1つとされている。
 たとえばパーティなどで人と話をしている時には、周りでいろんな会話が飛び交っているにも拘らず、相手の人の声しか聞こえないようになる。同様に電車の中で本を読もうと思った時に、周囲に電車の機械音や音楽、人の話し声などがあるにも拘らず、まるで周囲と遮断されたかのように、その本の活字だけが頭に入ってくるようになる。
「カクテルパーティ効果」と呼ばれる人間の心理効果だが、これは脳が「こういう思いを実現したい」というメッセージを受けて、必要なものとそうでないものを判断し、不要と判断したものは、ばっさり切り捨てるために起こる。
 つまり、良い目標を設定してやる気を与え続けていれば、その目標がいずれ叶うように脳が導いてくれるのである。良いことが起こるようにするには「良い思い込みを持つこと」というのは、極めて人間の生体メカニズムの理屈に適ったことなのだ。
 思い込みや考え方をつくっていくのは言語であり、人間は言葉によって良い考え、思い込みが脳にインプットされ、それが行動を決定し、人生をつくっていく。つまり良い言葉を使っていれば、良い行動が生まれ、良い人生が導かれるのだ。逆に悪い言葉を使えば、悪い人生に追い込まれてしまう。
 そう断言できるのは、佐藤さん自身、口癖によって人生をつくってきた人であったからだ。3つの博士号を持ち、また実業家としても成功し、複数の家と複数のヨットを所有する恵まれた人生を送ることができたのは、決して才能だけではなく、苦しい時も決してネガティブな言葉を吐かずに、前向きな良い言葉を使ってきたからなのである。

 人間の脳は他人を褒めても
 自分の脳を「快」状態にする

 良い言葉は自分を励まし、鼓舞するだけではない。より重要なことは良い言葉を使うことで良い人間関係をつくることだ。良い言葉は、人との関係を良好にして、自分のビジネスや生活をより快適にしてくれる。
 現代社会では、人と関わりを持たずに生きていくことは不可能だ。だからこそ他人とどのような関わり合いを持つかが大切になる。
 良い言葉を使う時に覚えておきたい原理は、「人間の自律神経には自他の区別がつかない」ということ。つまり良い言葉の対象が自分ではなく、相手に対して向けられたとしても、良い言葉だけを受け止めて自分の脳の状態を「快」に持っていく性質があるということである。
 もし誰かのことを「あなたはできる人ですね」「あなたは素晴らしい人ですね」と褒めたとしても、脳はその「できる」「素晴らしい」という言葉だけをキャッチして、その言葉にふさわしい行動を自らに促す。
 つまり誰かを褒めることは、自分を祝福することに繋がるのである。反対に誰かを「あんなんじゃダメだ」「あれは最悪だ」などというのは、自分に言っているのと同じことになる。
 よく飲み屋街などでは、同僚や上司の悪口を言うビジネスマンの姿を目にする。前述の佐藤さんはそういう光景を見るたびに「仕事ができる男とダメ男の違いが、使っている言葉や話している内容によって、如実にわかります」『ツキを呼ぶ「口ぐせ」「思考ぐせ」』と指摘する。
「こういう人たちは、自分自身のダメ男ぶりにますます拍車が掛かっていきます。仕事にも上司にも恵まれず、飲み屋で愚痴を言い合いながらクダを巻いている人は、いつまで経っても出世なんかできないでしょう」(同書)

 いい人すぎると、虚しさを覚え
 虚栄心が強い人も、人生を虚しいと感じる

 また目標がない、目標を失った人などもネガティブな口癖になりがちだ。前出の佐藤さんは運を引き寄せるには目標を持ち、それを口癖にすることが大切だとも言っている。
 目標を失った人は、人生に疲れ、ついつい恨みがましい言葉が口を衝く。「ああ、イヤだイヤだ」「何をやっても面白くない」「世の中つまらないことばかりだ」「最近疲れちゃって」「なんだか虚しい」といった言葉を使っている人は要注意だろう。
 こうした言葉が口癖になっている人は、人間関係が良好でない場合が多いようだ。その一因として挙げられるのが、その人が「いい人」になり過ぎていること。いい人になり過ぎの人は周りの人から何か頼まれた時に、それを断ることができないような人だ。人に親切にすることは良いことだが、それが度を過ぎてしまうと他人に振り回されて、人生に疲れてしまう。つまり自分の人生が他人に占拠されてしまい、つい「虚しい」という言葉が出てしまうのだ。
 同様に人の機嫌ばかり取っている人も、こうした言葉を吐く傾向がある。人の機嫌ばかり取っている人は、他人に好かれたいと思うあまり、他人の機嫌ばかりうかがうようになり、自分の人生のエネルギーを吸い取られてしまうからだ。
 虚栄心の強い人もこうした言葉が出がちだ。
「人からよく思われたい」「高く評価されたい」という気持ちが強すぎるため、そうならない時に恨みがましい言葉を吐いてしまうのだ。
 また虚栄心が強くなると、嘘をつくことが多くなる。一流大学卒業ではないのにそう偽る、金持ちでないのにそのように振るまう…こうした嘘は1度つくと、その辻褄合わせのためにまた嘘を重ねるため、大切な人生のエネルギーを浪費してしまいがちだ。そうして「虚しい」とか「世の中つまらないことばかりだ」といった言葉が口癖になってしまうのである。
 こういったタイプの人は、使う言葉より態度を改善する必要がある。
 次のような取り組みが有効だろう。

・できないことは「できません」と断る
・人の機嫌を取るよりも自分の人生を大切にする
・好きな仕事に熱中する
・他人の地位や肩書を気にしない
・自分のダメなところ、劣っているところを好きになる
・自分には素晴らしい将来が待ってると信じる
・虚栄心を捨て、自分に正直に生きる

日本一の高額納税者、
斎藤一人さんの天国言葉と地獄言葉

 口癖の重要性を説く人は、実業界に多い。日本一の高額納税者として何度もランキングされた斎藤一人さんはその代表だ。
 斎藤さんは、「成功はどんな口癖を持っているかで決まる」と言う。ただそれは別に難しく考える必要もないそうだ。
 何か問題にあったら「大丈夫、大丈夫」と言ったり、「頑張ろう、やる気十分です」と言ったり。自分や他人が明るくなるような口癖を言うようにすればいい。
 実業家である斎藤さんがとくに戒めているのはお金の悪口を言うこと。斎藤さんによれば、お金に好かれない人は、必ず「人生金じゃないよとか、そういうことを言う」のだそう。そういう悪口は言ってはいけないと。だが「だからって人生金だとか言いたいんじゃないですよ。大切なものって、友だちも大切だし、友情も大切なんだよね。だけど、お金の悪口を言うのだけはやめたほうがいい」(『斎藤一人さんが教える成功するための口ぐせ』)
 斎藤さんが言いたいのは、お金の悪口を言わずに「お金って大切だね」「お金を生み出してくれる仕事って大切だね」とか、そういう当たり前のことを言うことだ。「そう言わないとお金から嫌われる」からだ。(同書)
 口癖を大切にする斎藤さんは、人生を良くする言葉を「天国言葉」、自分も人も?苦しくなるような言葉や表現を「地獄言葉」と呼んでいる。天国言葉はもちろん、使えば使うほど自分も周りも良くなっていく言葉だ。関係を悪くする地獄言葉は、使ってはいけない。
 斎藤さんの天国言葉とは次の8つだ。

 使ってはいけない地獄言葉は次の言葉と行為だ。

 どれも、よく使いそうな身近な言葉だ。身近であるがゆえに、逆にその言葉に脳が支配されて、行動がそちらのほうに引っ張られていきやすいのだ。

強運の法則を研究したイギリスの科学者

 口癖や思い込みで人生が変わるということをなかなか受け入れられない方が、まだいるかもしれない。そういった方にはイギリスのハートフォードシャー大学の心理学者リチャード・ワイズマンさんが10年にわたって研究してきた「強運の研究」について、紹介しておこう。
 ワイズマンさんによれば、運のいい人には4つの特徴があるという。

その①
なぜかチャンスに巡り合う

その②
なぜか選択が正しい

その③
なぜか夢が実現する

その④
なぜか不運を幸運にする

 チャンスに巡り合いたいなら、
 人の多い場所に出かけて、笑顔を増やす

 ワイズマンさんはこの特徴から運が良くなる法則を科学的に実証している。
 まず「なぜかチャンスに巡り合う人」だが、チャンスが多いということは、それだけたくさんの運の出会いがあるということになる。
「人の多い場所に出掛ければ、それだけチャンスがある」ということ。ただし、ただ人が多い場所に出掛ければチャンスが増えるというわけではない。ワイズマンさんによれば運のいい人は、「笑った回数が多い」という。統計では運の悪い人に対して、運の良い人は笑った回数が2倍にもなっている。
 もう1つの違いがある。ワイズマンさんの研究では、運のいい人は「相手と話すときに手を開いてオープンな身振りで話す」ということだ。出会いが多いだけでなく、出会いに対してオープンであることが重要なのだ。
 チャンスが多い人のもう1つの特徴は、「新しい経験を受け入れようとすること」だ。いつも同じことばかりしようとするのではなく、たとえば違うルートで会社や出張に行ってみるとか、いつもと違う経験に積極的にアクセスするのだ。さらに、「肩の力を抜くこと」も重要だ。
 ある人が、気分がいい日にお金を拾う気がしたので、確認のために行動を日記に付けてみた。すると気分が沈んでいる日や、ほかのことを考えている日はお金を拾わず、心が軽くて気分がいい時にお金を拾うことが多いことが分かったのである。つまり何かのために必死になっている時は、新しい発見やチャンスを見落としてしまうようなのだ。運を引き寄せるには日頃から肩の力を抜くように心がけたほうがいい。
 ただし、日本では拾ったお金は交番や警察に届けること。その方が幸福感は増すはずだ。

 直感力を高めるために
 プチ瞑想をする

 またワイズマンさんの研究では「選択が正しい人」は、「直感と本能を信じる人が多い」ことが分かった。理屈でAかBかを判断するのではなく、信じる直感や無意識の声を聞いて選択している人が多かったのだ。
 運気を上げるための直感力を鍛えるにはどうしたらいいのだろうか。よく使われるのが瞑想だ。仏教や座禅を組むのも方法だが、ふだんの生活のなかでできる方法がある。
 それは、まず椅子にゆったりと腰掛け、次に目を閉じて体の力を抜く。気持ちが落ち着いたら、好きな言葉を声に出さず、一定の間隔で繰り返し心の中で唱える。それを10分くらい行い、ゆっくり目を開く。これを週に3回ほど、20分ずつ繰り返していくと良いとのことだ。

 不運を幸運に変える人は、
 不幸に遭っても「まだ良かった」と解釈する

 3つ目の「なぜか夢が実現する人」は、実現しない人に比べ、自分が幸運だと信じている人が多かった。さらに自分が出会う人は楽しい人ばかりだと信じていることも分かった。自分が幸運だと信じていると自然とやることに粘りが出てくる。他の人が諦めても一所懸命粘っていけば、その分夢の実現率が高まる。反対に不運だと思ってる人は「どうせやってもダメだ」「自分には運がない」と最初から諦めて行動を起こさない人が多かったのだ。自分は不運だと思っただけで、チャンスの芽を潰していたのである。
 4つ目の「なぜか不運を幸運に変える人」は、不運を運に変える力があるということだ。それは起こってしまったことを変えられるというのではない。
 研究では幸運に変える人は、起こってしまったことをプラスに捉える人が多かったということだ。たとえば次の場合、どう考えるべきだろうか。

・クルマに乗っていたところ、追突されてムチ打ちになった

・また財布を落としてしまい、見つかったけれども中身が無くなっていた

 クルマが事故に遭った、財布のお金がなくなったということは普通は不運だ。しかし不運を幸運に変える人は、事故に遭ってもムチ打ちで済んだことをラッキーと捉える。財布が戻ってきたことをラッキーと捉えるのだ。
 もう1つ共通していることは、運がいい人は不運や失敗から学ぶということだ。これはテストなどで伸びていく人とそうでない人の差だ。テストや失敗でなぜ失敗したのかを考える人は、次に同じ失敗をしないように努める。倒れてもただでは起きないのが幸運の持ち主なのだ。
 もう1つ不運を幸運に変える人に共通しているのは、気分転換がうまいということ。起こってしまったことにクヨクヨしていても、未来は拓けない。
 クヨクヨしないためには、「大声で泣く」「サンドバックに怒りをぶつける」「大声で叫ぶ」「体を動かす」「思い切り笑える映画を観る」などのほか、「過去に起こった幸運をじっくりと思い出す」というのも効果的だと言う。ちょっとお金があるなら、小旅行などもいいかもしれない。幸運のチャンスが転がっているかもしれない。

シンプルな3つの言葉が人生を劇的に変えていく

 ツキを呼び込む口癖で、最もシンプルな3つの言葉を提唱するのが、工学博士の五日市剛さんだ。五日市さんが唱える口癖は「ありがとう」「感謝してます」「ツイてる!」の3つ。これを日々口癖として使っていると、ツイている人生に変わっていくのだそう。
「ありがとう」「感謝してます」「ツイてる!」はこれまでの話からも、運をもたらす言葉であることは分かる。しかし五日市さんの唱える口癖は、使う場面に注意する必要がある。
「ありがとう」を、嫌なことに遭った時に使うのだ。文字通り「難が有った」時に、その難の連鎖を断ち切るために使うのが五日市さんの「ありがとう」という言葉なのだ。
 また「感謝します」という言葉は、いいことがあった時に素直に口にする。またこの言葉は自分の願望を実現したい時にも使う。たとえば、将来きれいな女性と結婚したいと思ったら「きれいな人と結婚できました。感謝します」と言うのだ。会社を100億円企業にしたいのであれば、「100億円企業になりました。感謝します」と言う。
 そうすると不思議とその願望が実現するという。

「ツイてる!」は、どんな小さなことでも、「ツイてる!」と口にすることです。これを繰り返していると、ツキがやってくると五日市さんは断言する。

 怒ると運は離れていく

 実は、この3つの言葉は、五日市さんが学生時代に訪れたイスラエルで知り合った老婦人に教えてもらったものだ。
 当時日本の大学院の研究室で学んでいた五日市さんは、気に入らない人や、だらしない人に毒舌を吐く人だった。当然人間関係はうまくいかず、孤立していたという。そこで気分を変えようとイスラエルに旅立ったのだが、そこでも財布を落としたり、飛行機が遅延したり、宿が見つからなかったりとさんざんな目に遭った。その時、宿を提供してくれた老婦人が、五日市さんの話を聞いて教えてくれたのだった。
 帰国後、半信半疑でその言葉を使いはじめると、状況は次第に好転。無事工学博士となり、卒業後は一流会社に就職。さらにヘッドハンティングで億単位の事業資金が用意されて、事業も成功。また美しい奥さんと結婚できたそうだ。
 また五日市さんだけでなく、たくさんの周囲の人にもツキが回っていったと言う。
 五日市さんも、前に紹介した人たちと同様に言ってはいけない言葉を示している。それは汚い言葉だ。
「バカヤロー」「ちくしょー」「ムカつく」というような言葉は、その言葉どおりの人生を歩んでしまうことになるという。また心のなかに不安を感じたら、「キャンセル、キャンセル」と言って不安を打ち消すようにする。
 もう1つ五日市さんが注意しているのは、「怒らないこと」。それまで積み重ねてきたツキが吹き飛んでしまうからだ。どうしても怒りが湧いてきたら深呼吸をするなど、代わることを探して実践するようにする。

 ツキを呼ぶ口癖。人生をも変えてしまう口癖。信じるか信じないかはあなた次第、というところだが、口癖やふだんの行動をちょっとだけ変えるだけで、変化が起きるなら実践して損はないだろう。
 人間はもともと勝ち組遺伝子を持っている生き物。あとは口癖次第でツキを引き出して充実した人生にすることだけなのだ。希望は誰にでもある。

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