COLUMN ビジネスシンカー

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2022.03

【new comer&考察】
卵の価格が倍に?ペットショップはやがてなくなる?!
世界で広がる動物の福祉思想
「アニマルウエルフェア」とは?

人間だけでなく、動物にも福祉を!

 ウエルビーイングを実現していくためには、本人の健康状態に加え考え方や社会的に置かれた環境などがより良い方向に向かう必要がある。とくに働き方改革が進められるなか問われるのが、社会福祉環境である。テレワークが一般化する状況下では、仕事現場は、会社のオフィスや工場、建設、メンテナンス現場だけでなく、家庭も含まれる。そのため従来対象となっていた福利厚生の範囲を社員の家庭まで広げる必要も出てきた。福利厚生が充実している企業は「ホワイト企業」として、若い人からも人気となっている。
 ジェトロが2018年10月に出したレポート「ニューヨークだより」では、アメリカにおけるミレニアル世代が企業に感じる魅力の優先順位として、1番目のキャリアップの機会に続いて、2番目が社会への貢献、3番目が柔軟な勤務体制、4番目にヘルスケア及び家族に関する福利厚生を挙げている。ワーク・ライフ・バランスや福利厚生への関心の高さが窺える。
 充実した福利厚生が社員のやる気やロイヤリティを高めることに繋がり、その会社の成長を促すのだ。
 こうした人間のウエルビーイングの充実を図る動きは、近年動物においても高まっている。アニマルウエルフェアと呼ばれる動きがそれである。
 アニマルウエルフェアは「動物福祉」あるいは「家畜福祉」などと訳される。
 似た考え方として動物愛護や動物保護といったものがあるが、使役家畜などの虐待や動物実験などの規制などから発展したもので、いわば最低限度の命の尊重を意味する。
 これに対してアニマルウエルフェアは、感受性を持つ生き物としての家畜やペット、その他の動物に対して心を寄り添わせ、誕生から死に至るまで、ストレスをできる限り少なく、行動欲求が満たされた健康的な飼育のあり方を目指す考え方。
 現在世界各国が取り組むSDGsやESG投資の観点からもこのアニマルウエルフェアは注目されている。

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