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消費縮小の今だからこそ – 売れる「売り場づくりの法則」を学ぶ

売れ筋は「ゴールデンライン」から生まれる

 ディスプレイを考える際にぜひ押さえておきたいルールが「ゴールデンライン」である。ゴールデンラインとは、お客様が最も見やすい、手に取りやすいゾーンにある陳列スペースのこと。概ね床上85センチから135センチで、売上のほとんどがこのゴールデンラインから生まれるとされる。
 ゴールデンラインを有効に使うためには、売りたい商品、売れ筋を陳列ラインのどこに並べるかも重要となる。同じ高さに並んだ商品の場合、最も売れる位置は中央部で、売りたい商品があればゴールデンラインの中央部に陳列すると効果的だ。
 逆に余り売れない商品でもこうしたゴールデンラインの中央部近くの「好立地」に置けば売上がアップするが、ただ中央部に置いただけでは効果は低い。ポイントは人気商品で「挟む」ことだ。人気商品、売れ筋商品のそばに置くだけでは、人気商品だけが際立ち、逆に売れない商品との差が際立って、「売れない」どころか「見えない商品」になってしまうからだ。
 さらにゴールデンラインを効果的に使うためには、情報を加えることも有効だ。代表的なのが手書きなどの「POP」である。POPは、お客様にとっては店側の思いや商品の内容や効果などの情報を得る手がかりとなり、また店舗内では遠目からも目立つので「案内板」の役割を果たす。

陳列の4つの基本のポイントを押さえる

 問題はどう「陳列する」かである。基本となるのが「置く」陳列だ。基本は次の4つだ。
1.ジャンブル陳列
 バスケットやワゴンなどに無造作に商品を投げ込んだような陳列のこと。使う場合は、①商品フェイスは必ず見せる ②ボリューム感、迫力が伝わる陳列状態にする ③陳列器具は統一のものを使用する ④POPをつける ⑤ひとつの器具にひとつのアイテムを陳列する(複数の種類の商品をまぜない)
2.突き出し陳列
 通路に箱などの什器を使用し敢えて突き出した陳列。目立つ反面、通行の邪魔になるので多用はしないこと。使う場合は、①高さは背面什器と同等、もしくは低くする ②客動線と通路に注意する ③最低陳列量を決めて商品ボリュームに気をつける ④POPをつける
3.積み上げ陳列
 商品を積み上げる基本的な陳列方法。使う場合は、①フェイスを揃える ②安定感を確認する ③陳列数を確認する
4.トレー陳列
 商品陳列の基本的な陳列方法。使う場合は、①整然と陳列する ②トレーのスペースと商品陳列のバランスに注意する ③フェイスを正面に向ける

陳列の代表的な「型」を知る

 陳列の「型」も大切だ。代表的な型は次のようなものがある。
1. トライアングル型
 最も基本とされる型で、センターに背の高い商品、サイドに背の低い商品を陳列することで三角形(トライアングル)の形にする。安定感があり、目を惹く。エンドやコーナーなどでも作れるので、汎用性が高い。
2.シンメトリー型
 中心線を決めて左右対称にする型。安定感があり落ち着いた感じを出す時に使う。必ずしも同じ商品でなくても、同じサイズであれば成立する型で、位置を揃えれば十分なのでトライアングルに比べ、手軽にできるのも特長。
3.アシンメトリー型
 中心線から対象ではなく、敢えて中心線をずらして配置する型。商品の斬新さや個性を引き立てる際に使う。
4.リピテーション型
 同じ種類の商品を同じ間隔や同じ向き、同じ角度で陳列する型。これは単品では目立ちにくい商品などを陳列する時に効果がある。雁行やV字、ひし形などいくつかパターンがあり、またその型によって入り口から奥に向けての誘導効果も期待できる。
5.放射型
 中心部から外に向けた型。広がりがあり、動的でインパクトがある。売り場全体のポイント的に使うと効果的。
6.リズム型
 1つのパターン、ユニットを繰り返す型。同じ商品のサイズ違い3つをユニットとして、価格帯やデザイン違いで陳列したり、メーカーが違うサイズ違いの4商品を1ユニットにして陳列することで、曲線的でリズミカルな印象を与える。女性的でエレガントな商品、優しさのある商品、コミカルな印象の商品など展開に効果的だ。
7.大量型
 商品を圧倒的な量で陳列する方法。一般にお客様の心理として、「商品が少ない店ではお客様は冷静だが、商品が山積みされている店では興奮する」という。大量陳列することで、お客様が「これはお買い得です」と解釈するからだ。
 典型的なのは「圧縮陳列」で業績を伸ばした「ドン・キホーテ」。通路を余り広げずに商品との距離を縮めた店内はまるでジャングル。否が応でも山積み感を体感する。またコーヒーなどをはじめとした食品雑貨のセレクトショップ「カルディ」も商品を山積みにする陳列でお客様を引き寄せている。巨大スーパーの「コストコ」も圧倒的物量でお客様を興奮させている。
 陳列方法はもちろん扱う商品や量、大きさによっても違ってくる。たとえば商品数の多いドラッグストアの場合は、視界が狭くなるため、目につくポイントを店内にちりばめておく必要がある。ファッション専門店などの場合は、売り場が見渡せるつくりが多いが、その場合は店の奥に視線を集めるような工夫を施すといい。
 この売場・ディスプレイの法則はWEBサイトにも応用できる。クリックした先に、その先を覗きたくなるような仕掛けがあれば、自ずとその先に視聴者は進んでいく。

買い物の8割は衝動買い

 一般に買い物の8割は衝動買いと言われる。うち1〜2割は、まったく買おうと思っていない物だと言われている。その点からも店の陳列方法、ディスプレイが果たす役割は非常に大きい。
 インフレが進む中、なかなか消費者の財布の紐は堅いが、消費が進むことは経済を回すことになり、所得アップにつながる。
 ぜひこの売り場づくり、陳列・ディスプレイの法則を活用し、商品の魅力をさらに引き出してもらいたいものだ。

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