COLUMN ビジネスシンカー

2018.09

チャンスを活かす!ピンチを切り抜ける! 大人が知っておきたい「ビジネスの法則」

③「ロングテールの法則」

2:8の原理はネットには通用しない?

 パレートの法則はネットビジネスにも影響を与えた。その一つが「ロングテールの法則」だ。パレートの法則では8割の売上は2割の商品で構成されていることだった。これは主に小売店舗においては、スペースに限りがあるので、できるだけ回転率の高い商品を取り揃えることが、売上アップ、収益アップに繋がるという理由があるからだ。

 しかしネットビジネスでは、店舗スペースは無限。なので回転率の悪い8割の商品をできるだけ他種類揃えておけば、ニーズがある限り売れるので、結果として大きな売上に繋がるというもの。その売上グラフを縦に販売数量、横に売上げランキングをとって描くとちょうど、長い尻尾を持つ草食恐竜のような姿になる。

 このことはアメリカの雑誌「ワイヤード」が2004年に発表した「ザ・ロングテール」という記事において、リアル書店の「バーンズ・アンド・ノーブル」とネット書店の「アマゾン・コム」の売上分析したことで話題となった。

 アマゾンの売上は、その2分の1以上を当時バーンズ・アンド・ノーブルが店頭に置いていない本から得ていると指摘したのだ。つまり頭の2割ではなく、ネットビジネスにおいては残りの8割、長い尻尾(ロングテール)が重要だというわけだ。そしてこれを持ってパレートの2対8の法則は覆されたということになった。

アマゾンを支えているのはトヨタのカンバン方式

 しかし、デジタル情報を売るビジネスとは違い、アマゾンはれっきとした本を売るビジネス。ネット空間はバーチャルでも売れない本を置く倉庫は必要だった。結局アマゾンは巨大倉庫を持って、集中して配送するようなしくみをつくることが、ネットビジネスのキモだと理解したのだ。彼らは巨大倉庫で効率化を図ったのである。だがビジネスの専門家はアマゾンが成功したのは、巨大な倉庫ではなく、それを管理するシステムが良かったからだという。実際、アマゾンは立ち上がってしばらくは赤字を出し続けていた。多くのエコノミストも「アマゾンのやり方では早晩潰れる」と見ていたようだ。そこに手を差し伸べたのがAOL=アメリカオンラインだった。そこでアマゾンは息を吹き返した。

 アマゾンが力を注いだのは在庫管理システムだ。いかに巨大な倉庫をつくっても膨大な書籍、雑誌を1アイテムについて何百冊と置くことはできない。そこで目をつけたのが、トヨタのカンバン方式だった。在庫を可能なかぎり少なくしながら、欠品を避ける仕組みだ。

 リアルな書店では扱えないほどの巨大な倉庫を持つからバーチャルな書店が強いのではなく、いかに欠品を少なくし、商品回転を上げるかを突き詰めたからこそアマゾンは成功したのだ。

 つまり、2対8の法則は生きてたのだ。2も8もあるからこそしっかり利益が出る。現代ビジネスにおいては売上貢献度の高い2割の商品だけに絞ってしまうと、大きなトレンドに対応できなくなる。

 リアル店舗ではかつてデパートがその役目を担っていた。さまざまな商品=百貨を扱っていたからこそ、各地からお客を呼べたのだ。それを売れ筋だけに絞って行き過ぎたために本来の「百貨」の魅力を失ってしまったのだ。