COLUMN ビジネスシンカー

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2022.02

現代の参謀はAIか?!
テクノロジー万能時代に見直しておきたい
戦国時代の名参謀の「仕事」と「資質」

戦国時代は企業グループの大M&A時代

5つ目の信頼も現代に通じる話だ。日本では成果主義やフラット型組織など欧米型の会社経営が広がってから、日本的な家族型・村社会的な経営が崩れてしまった。かつてのように会社に忠誠を誓う人は少なくなり、転職も珍しくない。だからこそ、信頼が重要になってくる。それは戦国時代も同じだ。

そもそも戦国時代は主君に忠実であることに義を見出してはいなかった。というのも彼ら自身、多くの部下を抱える豪族・大名であり、いわば企業の経営者であったからだ。つまり戦国時代は大小さまざまな企業がM&A(吸収・合併)を繰り返しながら、より大きな企業グループに収れんされていった時代だった。

自社の成長・拡大を図りながらも、その成長・生き残りのためにも、どの企業と手を結び、どの企業グループに入った方が、資金や報酬、技術、ステイタス、ブランドなどを手に入れられるかが、当時の大名たちの関心事であったのだ。そういった時代であるがゆえ、部下の離反にも細心の注意を払わなければならなかった。トップに才能がないとみるや平然と離反し、ライバルに加勢する者も少なくなかったからだ。

名参謀や名軍師の誉れ高くなればなるほど、当然ヘッドハンティングの話も舞い込んだ。

大河ドラマの主人公となった直江兼続については、時の天下人秀吉がほれ込み、豊臣の姓を授けるとまで言って参謀に誘ったにも関わらず、上杉景勝のもとを離れることはなかった。兼続が評価を受けるのは、世の中が疑心暗鬼になっている戦国時代だからこそでもあった。

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