COLUMN ビジネスシンカー

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2022.02

現代の参謀はAIか?!
テクノロジー万能時代に見直しておきたい
戦国時代の名参謀の「仕事」と「資質」

秀吉にみる理想の参謀像

さまざまな参謀がいるが、名参謀にはどのような資質が求められるのだろう。

数々の歴史小説を手がけ、自らも役人経験を持つ作家童門冬二さんはその著書「将の器 参謀の器」のなかで、秀吉の例を取り上げている。

信長の初期の拠点となった清州城。その城が台風で被害を受け、復旧を進めていたものの、なかなか進まなかった。その様子を見て、信長は前任者に代えその監督を秀吉(当時は木下藤吉郎)に任せた。前任者は「お前に何ができる」と成り上りの秀吉に捨て台詞を残し、去っていった。

秀吉は、まず塀を10に分け、担当をつけた。担当者の組み合わせは自由にさせ、そのなかでもっとも早くできたものに報償を与えるとした。そして作業の前に、なぜ早く塀を直すことが重要かを説いた。当時の工事は農民たちで、塀の修理は自分たちとはあまり関係ないものと捉えていた。秀吉は塀を直すことはこと信長だけの問題ではない。ここがしっかりしないと、いつ他の武将にせめこまれるかわからず、自分の女房や子供が人質にとられたり、殺されたりする危険があると語ったのだ。

農民たちは修理にあたって誰と組むかを考えた。しかし妙案は出ず、結局くじ引きで組み合わせを決めることとなったが、目的や意味を理解した農民たちにより果して、工事はみるみる進捗し、数日かけても直せなかった塀がほぼ1日で直ったという。さらに秀吉はこれを信長に報告し、信長を現場に引出して、農民たちにじかに礼を述べさせたという。秀吉の人心掌握術のたくみさが出ている話だ。

童門さんは、この件について秀吉が、以下の6項目をしっかり把握していたからと分析している。

1) 信長がこれからやろうとしている理念

2) その目的

3) その実現方法

4) 今の織田軍がそれを実現できるかどうか

5) 改革するとすればどこを変えるべきか

6) 変える方法はどういうものが考えられるか

参謀がいかにトップの理念を把握し、それを実現できる環境を現実に合わせて整備できるかということに尽きると言える。

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