COLUMN ビジネスシンカー

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2021.03

知らずに「奴隷労働の手先」になってはいないか 知っておくべき
”サプライチェーンのいま”<後編>

世界で1億5,200万人の子どもたちが
児童労働で就学チャンスを失っている

ILO(国際労働機関)と国際人権団体のウォーク・フリー財団がIOM(国際移住機関)と協力して作成した報告書「現代奴隷制の世界推計:強制動労と強制婚姻」で明らかにしている数字では、2016年現在、世界全体で4,000万人以上が現代奴隷制の被害者だという。うち約2,500万人が強制労働、約1,500万人が強制結婚の被害者となっている。女性・少女は被害者全体の71%を占めている。

現代奴隷制の被害は女性や少女などの弱者に集まる。

弱者という点において最も犠牲になりやすいのは子どもたちである。

ILOの2017年の推計によれば、2016年時点で、世界の5〜17歳のうちの1億5,200万人が児童労働従事者となっている。これは世界の子ども10人に1人が従事しているということになる。さらにうち半分の約7,300万人が危険有害労働に従事している。

危険有害労働とは子どもの健康や安全、道徳を害する可能性が高い労働を指す。具体的には、夜間労働や長時間作業、肉体的・心理的・性的虐待に晒される作業、化学物質や高温、騒音に晒される作業などが含まれる。

世界的会計コンサルティング会社であるデロイトトーマツと特定非営利活動法人ACE、サステイナブル経営コンサルティング会社のオウルズコンサルティングがまとめた「児童労働白書2020」によれば、児童労働の発生件数でみると産業別では農林水産業が最も多く、全体の70.9%を占める。次にサービス業が17.2%、工業が11.9%となっている。機械化が遅れている、あるいは機械化しにくい産業で児童労働が起きやすいことが見て取れる。

同報告書では児童労働が起きやすい産品も取り上げており、前述したカカオ豆をはじめ、コットン(綿花)、コーヒー豆、サトウキビ、ゴムなどが挙がっている。また漁業ではエビなど挙げられている。サービス業ではホテル、レストラン、小売、自動車整備・修理、輸送などのほか、家事労働などが挙がっている。

児童労働が世界中で問題視されるのは、貧困と密接な関係があるからだ。児童労働は子どもたちの就学機会を奪う。しかるべき時期に受けられるべき就学機会を奪われた子どもたちは、大人になってからも高収入の機会を失うため、貧困から抜け出せない。貧困家庭では働き手としての子どもを期待するため貧困が世代を跨いでいく。現代では世界的なNGOやNPOが教育機会の創出やサポートを行っているが、親が児童労働を体験していると子どもを就学させないケースも多く、児童労働問題の解決には子どもたちだけでなく親の教育・カウンセリングも必要となる。一筋縄ではいかないのが実情だ。

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