COLUMN ビジネスシンカー

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2021.06

アフターコロナ時代を生き抜く技術発想
プリンタとエンジン技術の関係とは・・・
技術の応用力を磨け!
あの技術はこう生かされた!

1300年の時を超えて活用させる
日本の建築技術

技術は時として時代を超えて再利用されることがある。

高さ634mを誇る世界一の高さを誇るスカイツリー。地震大国である日本で高層建築物をつくっていくことは、他国にない技術も求められる。従来の高さは333mの東京タワーだ。その倍にもなる高さのタワーを建設することは、高度な技術を持つ日本の建設会社でもハードルは高いものだ。しかもスカイツリーの建設場所は下町の極めて限られたスペースで、事故などは絶対起こせない場所。

この難題に挑んだのが大林組。大林組が目をつけた技術が、世界遺産法隆寺に使われた建築技術。

法隆寺に限らず、日本の塔建築では塔の中心に「心柱」という長い柱を設け、地震の揺れを抑える技術が確立していた。地震が起きても、中の構造物の揺れのタイミングがずれるために揺れが打ち消しあい、大きく揺れずに済むというわけだ。

数々の歴史的仏閣や建築物の修復に関わった宮大工の西岡常一氏は、法隆寺の金堂の調査をしていた時に起こった地震で、その見事な制振の様子を次のように表現している。

「塔、どないなるかとすぐ外にとんで出て見たんですわ。そしてじっと見ていたら、そりゃ機械で測ったわけではないからはっきりといえんけれども、初重がこう右に傾けば、二重が左に傾く、二重が左に傾けば三重は右に傾く。たがいちがい、たがいちがいに波を打つようになった。各重がたがいに、反対に反対に動きよる。ということは中心は動いとらんわけでしょう。側だけが動いている。ああいうので塔が地震に強いのじゃないかと思います。そしてあんまり大きなのが来たときには、心柱はこんどは止める役をしよるんです。とにかくビルでもこの頃は軟構造ということが言われてますけれどももう1300年前にちゃんと塔は、いまでいう軟構造にできているということですわ」(『蘇る薬師寺西塔』西岡常一・高田好胤・青山繁〔草思社〕)

スカイツリーは建設途中であの東日本大震災に遭うが、これにも耐えて無事に完成している。建設開始から一定期間は心柱のない状態が続くが、大林組では建設用のタワークレーンをオイルダンパーで補強し、制振力を高めて臨んだ。一部の人たちからは「やりすぎ、コストがかかる」などの声もあったようだが、結果この対策が効き現在の姿になっているというわけだ。

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